3/14/2024

ヴァル・キルマー/映画に人生を捧げた男


 『トップガン』のアイスマン役で世界的に人気が大ブレイクし数々の作品に出演、一昨年公開された『TG マーヴェリック』の同役での記憶も新しいヴァル・キルマーが、プライベートフィルムを織り交ぜながら自らの半生を振り返るドキュメンタリー。声を失った彼の代わりにナレーションを務めたのは息子のジャック。

 裕福な家庭に生まれ育ったヴァルは幼いときから兄と弟の3兄弟でファミリームービーの被写体となってきた。アメリカンキッズらしく西部劇の真似をしたりのびのび育った幼い兄弟の様子は観ていて微笑ましい。成長してからはヴァル自身も16ミリやビデオカメラを片手に日常の生活を記録してきた。両親や早くに亡くなってしまった弟のこと、後に共演者となるケリー・マクギリスと同窓になった演劇学校、参加した数々の作品撮影の模様やプライベート、そして現在の自分が語られる。
 演劇を志して学校に進んだヴァルは『ヒート』でのデ・ニーロやアル・パチーノ、映画自体も物議も醸した『DNA』でのマーロン・ブランドら演劇学校から飛び立った名だたる名優たちとの共演には心を踊らせたのじゃないだろうか。どちらかというとアクション俳優としてカテゴライズされてきた印象のある彼は、ときにエキセントリックなまでに役に入れこんでスタッフ等とぶつかり合いもしばしばあったというような記事も以前見かけたことがあったけど、どんなときにも真摯に向かい合い自分なりの作品世界とキャラクター理解で演じようとしてきた結果だったのだろうと思う。
 病に倒れる前に自ら脚本を執筆し全米各地で公演を続けてきた一人芝居のマーク・トゥエインの物語は、まさに彼の本領発揮というか本当に目指した集大成とも言うべき芝居だったのだろうけれど、道半ばで終わってしまったのはとても残念だ。「今は過去の出演作のファンミやイベントで笑顔を振りまいて稼いでるんだ、いい食い扶持だから」と語った寂しそうな笑顔が切なかった。たぶん製作の年代的にはこのドキュメンタリーのあとに『マーヴェリック』は撮られているはずだけど、ヴァルには今も元気に脚本を書いたりアートを作る活動をしていてほしい。

 ご多分に漏れず『トップガン』以降ではあるけれどヴァルの作品は比較的追いかけていたのでバックヤード部分も含めてとても興味深かった。プライベートで幸せにしてると思っていたジョアンヌとの結婚生活が破綻していたとは知らなかったけれど(涙)、見どころいっぱいのお宝映像の中でも特に『ドアーズ』『トゥームストーン』のシーンがわりとしっかり出てきたのが嬉しかった。実はヴァルの『バットマン』もかなり好き

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原題:Val 監督:ティン・プー、レオ・スコット 2021年製作
出演:ヴァル・キルマー、ジャック・キルマー(ドキュメンタリー)
U-NEXT鑑賞

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