7/16/2022

アンソニー・ホプキンスのリア王

 個人的『リア王』の映画体験は昔シネスクでみたロシア映画(監督:グリゴーリー・コージンツェフ 1971年製作)とあとは翻案だけど黒澤明監督の『乱』ぐらい。最近松岡和子さんのシェイクスピア本のエッセイや河合隼雄さんとの対談本での記載を読んでいて、ふとHDDに本作を録画してあったのを思い出してみてみた。
 舞台を現代に置き換えただけで設定など原作のままだと思うけれど、どんどんどんどん破滅に向かっていく話だったよなあと思い出した。残酷で悲しい物語。2018年の作品だからアンソニー・ホプキンスはこのあと同じく元は舞台劇の『ファーザー』を演じているのだろうけれど、あちらはリアのように横暴ではないとはいえ錯乱していく父親の姿がだぶる。ともに子に対する見る目を間違えたのだ、と盲目となったグロスター伯(ジム・ブロードベント)と肩を抱き合いながら語り合う場面にはぐっときた。あまりに短絡的すぎた父親ふたり。
 それにしても3姉妹を演じる女優陣はじめ英国を代表する役者さんぞろりという贅沢な配役。もちろんゴネリルとリーガンに扮したエマ・トンプソン&エミリー・ワトソンの狂気の鬼姉たちはド迫力。エマ・トンプソンなんて若い頃にはコーデリアとか似合っただろうに…。アンソニー・ホプキンスと共演というと『日の名残り』も懐かしき。そんな大ベテラン二人を向こうに回したフローレンス・ピューの凜とした雰囲気もとてもよかった。

イアン・マッケランがリアに扮したナショナル・シアター版もみたい。

原題:King Lear 監督:リチャード・エアー 2018年製作
出演:アンソニー・ホプキンス、エマ・トンプソン、エミリー・ワトソン、フローレンス・ピュー(WOWOW)

元はプライムTV制作なのね



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