企業弁護士事務所に勤めるビロットの元に彼の祖母の紹介だといってウェストバージニアの牧場主がやってくる。それは街の中心産業をになっている大企業デュポンの化学工場からの廃液で土地が汚染され、農場の牛たちは死に住民も健康を害しているという訴えだった。最初こそ立場的に弁護はできないと断るビロットだったが、実際に土地を訪れ実態を目の当たりにし覚悟を決めたビロットは街の住民を巻き込んだ大きな訴訟へと踏み切る。
とりあえず映画を見終わって家にあった古いテフロンフライパン2こを捨てた(苦笑)。今更そんなことしたって自分の体はすでにほかの化学物質で毒されていそうだけど。
原発もだろうけれど日常生活用品であったり便利なものを化学を駆使して作ったはいいけれど、その後に残る物質のことって今以上に昔は考えられていなかったように思う。どこか人目につかないところに放置しておけばいいとか水に流して捨ててしまえばいいとか…今だってそうか。でも安直杜撰に処理すればそのしわ寄せは必ずどこかに、どんな形かわからないにせよ行くものだ。それが負の形で表だって出てくるようになる頃にはすでにとんでもないことになっている。水俣病だってそうだ。ダメージの多くは地方であったり情報弱者や弱い立場の人々のところに集まりがちだけれど、そんな人々の上げた声を汲んで地道に闘い続けてくれる真の法の番人的な人々には心からの尊敬と感謝を送りたい。
にしても冒頭で登場した廃液処理場の水場で泳いでいた若者たちってその後どうなったのだろう…。言及がなかったと思うけど事実であればとても気になる。
マーク・ラファロとデュポンといえば『フォックスキャッチャー』を思い出すし、闘う正義の人キャラだと『スポットライト 世紀のスクープ』を思い出す。新聞記事から本作の映画化を熱心に進めてきてプロデューサーも勤めた彼は、実際に気候や環境問題の活動も続けているそうだけれどきっと熱い人なのだろうな。渾身の1作
アン・ハサウェイもよかったけれど、ティム・ロビンスがデュポンへの訴訟をゴーするかで紛糾する事務所の弁護士たち相手に檄を飛ばすシーンもよかった。久しぶりに見かけた気もするけど相変わらずでっかいというか一緒に並ぶとマークがずいぶん小柄に見えたのはご愛敬。
原題:Dark Waters 監督:トッド・ヘインズ 2019年製作
出演:マーク・ラファロ、アン・ハサウェイ、ビル・プルマン、ティム・ロビンス
@下高井戸シネマ
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