1/26/2023

ジャマル・カショギ殺害事件 真犯人は逮捕されない


 イスタンブールにある自国の総領事館を訪れたあと領事館内で「失踪」と報じられたサウジアラビア人ジャーナリスト、カショギさんの事件はあまりにも衝撃的だったけれどその背景を明らかにしようとするドキュメンタリー。
 事件の背後にスパイウェアの存在があったという話は2021年の東京フィルメックスで上映されたオムニバス『永遠に続く嵐の年(The Year of the Everlasting Storm)』にも描かれていて驚いたけれど、権力に批判的なジャーナリストや反対派に対して権力者側が陣頭指揮をとり、いわれのない動機で相手の身内を拘束したり徹底的に攻撃を加える。そういうことは古代からあっただろうけれど、集団を組織してネット上で一斉に叩いたり、ハッカー団が情報を盗み取ってはばらまくというのがいかにも現代的だ。そういえば日本でもSNSで誹謗中傷やらを組織的にやっていた団体の報道が前にあったけれど、その後どうなったのだろう。いずれにしても世界的にそういうことは頻繁に起きているのだろうけれど、こちらはスケールも落とし前の付け方も桁違い。気に入らない存在は消しちまえと言わんばかりの「口封じ」はどんなに革新的なIT使っていようが前時代からの野蛮さから進展がない。いずれにしても怖い世の中になったものだなと背筋が寒くなる。

原題:The Dissident 監督:ブライアン・フォーゲル 2020年制作
(ドキュメンタリー)JAIHOにて鑑賞


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