今更なのだけど是枝監督の映画をちゃんと観たことはなかった。柳楽優弥くんがカンヌの男優賞を受賞した『誰も知らない』をチラリとみたことはあったけれど、結末がつらそうで最後までは観ていなかった。その後も新作の情報が出るたびに記事だけは目を通すのでなんとなくの物語は知った気になるのだけれど、国や場所は変わっていても何かを抱えた家族もしくは疑似家族のつながりが共通テーマとしてあるように見えていた。家族って一番近くて濃い人間模様の舞台になり得る題材だからなのだろうか。
本作でも赤ちゃんポストに預けられたひとりの赤ん坊を巡って、赤ん坊の仲介屋二人組とと実母の若い娘、仲介の旅に同行する施設育ちの少年、取引現場を押さえようと一部始終を目撃する女性刑事たちもだけどそれぞれに事情を抱えた個人が集まり、疑似家族的に行動を共にして紆余曲折ありながらも互いを支え合う。もしかしたら血がつながった本当の家族よりもこうしたつながりの方が、互いを客観視しつつも助けが必要なときには素直に温かく手を差し伸べることができるのかなと思ったり。最後に事件、というか逮捕という出来事から数年後に再会する彼らがどんな形でつながりを保っていくのか余韻を持たせたところがよかった。
ガンホさんもパラサイトのお父ちゃんとは違ってちゃんとみんなに再会できそうだ。
原題：Broker 監督：是枝裕和 2022年製作
出演：ソン･ガンホ、カン･ドンウォン、ペ･ドゥナ、イ･ジウン、イ･ジュヨン
＠109シネマズ二子玉川
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