6/22/2022

シャンカラーバラナム 不滅のメロディ


 南インドの古典歌手として名をはせるシャンカラーと彼とその歌とを深く尊敬する娼館育ちの娘トゥラシ。母親が無理矢理決めた結婚相手を刺して家を出たトゥラシをシャンカラーは自宅に保護し公演にも同行させるが、卑しい身分の娘の存在を周囲の人々は許さない。お抱えの楽団や支持者が去って行ってもシャンカラーは意に介さず芸を披露するだけだったが、自分の存在が迷惑になっているのだと苦しんだトゥラシは彼の元を去る。

 時は流れ古典芸能は過去のものとして人気が廃れ、生活にも困窮しているシャンカラーの元へトゥラシは自分の息子を使用人として密かに送り込む。やがて母親が残した莫大な遺産でシャンカラーの名を冠した音楽ホールを建てその記念として公演も開催されるが、歌の最中、発作を起こしたシャンカラーは倒れてしまう。彼に代わって美しい歌声を披露したのはトゥラシの息子だった。ホールの片隅で舞台を見つめるトゥラシの姿を見つけ全てを悟ったシャンカラー、そしてトゥラシもステージに駆け上る

 恋愛よりももっと深い芸術への愛というか。シャンカラーの歌声と芸に対する姿勢に心酔するトゥラシは二人とも無私でとても清い。シャンカラーにとって歌は神への捧げ物であったと思うけれどその歌声が人の心を打ち善行へも向かわせる。芸に殉じたということなのだろう。トゥラシを演じた女優さんは実際プロの舞踊家なのだそうけれどとても見事な舞踏だった。
 インドの古典芸能が次第に時代遅れになり西洋音楽に押されていくという描写で登場したのがなんとベイ・シティ・ローラーズ(の写真・しかも結構後期の)っていうのがとてもびっくり。製作当時にはインドにもタータンハリケーンが吹き荒れていたのだろうか??とはいえ、どちらかといえばインド音楽に多大に影響受けてるアーチストはビートルズとか60年代から多かったはずだよね、シャンカラー先生も隣のエレキ若者にいってたような気もするけれど。国内の若者のアイドルブームに釘を刺したってことなのかしら。

原題:Sankarabharanam 監督:K・ヴィシュワナート 1979年製作
出演:J・V・ソーマヤージュル、マンジュ・バールガヴィ、トゥラシ・シヴァマニ、アッル・ラーマリンガイヤ

@新宿ピカデリー
インディアン・ムービー・ウィーク


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