夫の生前からなのか亡くなってからかはわからないけれど、長いこと保たれてきたのであろうジャンヌの生活のリズムにごく小さな不規則からほころびが生じる。そこからは大きな出来事が起きるわけではないのに少しずつ増長されるズレと堂々巡り的な気持ちの地滑りのような不具合に対処しきれず、彼女自身も呆然とするうちにことは起きてしまっている。決してセリフは多くないけれどひとりの女の3日間の生活を丁寧に追うことで十分に戸惑いや焦りの感情まで伝わってくるところに引きつけられた。単調だけど濃密な200分。
原題:Jeanne Dielman, 23, quai du Commerce, 1080 Bruxelles
監督・脚本:シャンタル・アケルマン 撮影:バベット・マンゴルト 1975年製作
出演:デルフィーヌ・セイリグ、ジャン・ドゥコルト、ジャック・ドニオル=ヴァルクローズ
シャンタル・アケルマン映画祭
@ヒューマントラストシネマ渋谷
オフシアターでは何度か上映されてきたシャンタル・アケルマン監督の待望のロードショー劇場での特集上映。本当はもうちょっと観たかったけれど時間的に難しく2本のみ鑑賞。あとで下高でもやってくれないかな…
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