4/08/2022

もののけ姫

 初公開時以来の再見はアーカイブでのフィルム上映。画の状態も音もとてもよかったけれど、加えてむかし観たときよりずっとよかったなと思えた気がする。
 人が生きていくために居場所を求めて場を切り拓いてそこに住まうとき、連鎖のように追われるものが必ず生じる。では勝手に侵入者として移り住むものが絶対的な悪なのかといえば、多くの場合は何かしらやむにやまれない理由もあったりする。エボシたちの集落に住まう人々は病を得たものや身売りされて逃げ出した女たちなど一般社会から追われた人々で、そんな彼らでも安心して人並みの収入を得て普通の暮らしができるようにエボシは守っている。元々山に暮らし後から来た人間たちに居場所を奪われ追い詰められた動物たちにしてみれば憎い敵でしかないけれど、互いの立場を認めて共存していくことの可能性を示し、観るものにも考えさせるというのは、公開時以上に今の世だからこそより深く響くものがあるのではと思った。

監督:宮崎駿 1997年製作
声の出演:松田洋治、石田ゆり子、田中裕子、小林薫、美輪明宏、森繁久彌
@国立映画アーカイブ


0 件のコメント:

コメントを投稿

(※営利目的、表題に無関係な主義主張・勧誘のコメントは削除します。ご理解ください)

popular posts