4/16/2022

アネット

 舞台上の毒舌と傲慢とも見える演出で人気を博すスタンダップコメディアンと毎夜悲劇で終わるヒロインを演じて絶大な支持を受けるオペラ歌手。何がきっかけだったかは明かされないけれど(たぶんこれまでの作品同様愛っていつのまにか突然始まるものなのだろうという前提?)深く愛しあう二人は結婚し娘も生まれるが、次第に人気が凋落する夫と依然人気を保つ妻の間にはいつしか隙間風が吹きあれ、仲を修復するための船旅で妻は命を落とす。残された幼い娘に奇跡的な歌の才能があると知った父親は娘を売り出し世界中の人気者になるが…というのが簡単なあらすじ。
 スパークスが音楽を担当したカラックスの初ミュージカル作品ってどういうことになるのか全く想像もつかなかったけれど、こう来たか、という感じ。のっけの導入部からこれは寓話と断った上で進んでいく贅沢で不思議な舞台劇を見せられたよう(全登場人物とスタッフたちによるフィナーレ付き)。描かれるのはブラックファンタジーというか風刺を込めた楽屋ネタでもあるのかもしれない。あいかわらず一見しただけでは消化し切れていない自分である。
 とはいえアダム分するネタもいまいちキレてない俺様コメディアンのアドバイザーとして、ちょっと前に世界中を沸かせたクリス・ロックの名前がクレジットされていたのだけは見つけて、ちょっと複雑な心境にもなったり。

原題:Annette 監督:レオス・カラックス 2020年製作
出演:アダム・ドライバー、マリオン・コティヤール、サイモン・ヘルバーグ
@ユーロスペース

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