昭和の大女優、田中絹代が監督した3作目の作品で歌人中城ふみ子の生涯を描いた作品。酒浸りの自堕落な夫の元を離れ、子どもたちを連れて実家に帰ったふみ子が短歌の師でもある親友の夫に大胆に心を寄せ、その彼が病で亡くなったあと自らも乳がんを患いその想いを詠んだ歌が注目を集め、歌集を出すべきだと新聞社の若い記者が説得にやってくる。
親しい友の夫や病床での若い男性へのプラトニック以上のアプローチなど公開当時にしたら大胆な描写だったのかと推測するけれど、そこは絹代が女性監督として女性の目線、主体で描いた物語だけあって、月丘夢路の芝居からは凜とした決意というか力強さが伝わってきて後ろめたさや負の印象は全く抱かない。時代の先を進んだ女性という感じだろうか。
監督:田中絹代 1955年製作
出演:月丘夢路、葉山良二、織本順吉
@TOHOシネマズシャンテ (東京国際映画祭)
11/08/2021
乳房よ永遠なれ
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