ティッタ・ディ・ジローラモはスイスの高級ホテルに家族の元を離れ8年間滞在している。誰とうち解けるでもなく日々黙々と過ごす毎日。仕立てのよい服に身を包み定期的にトランクに大金を詰め込みスイス銀行に入金し、週に一度だけ決まった時間にヘロインを打つ。それが彼の秘密。ところがある日、彼の生活をはたで2年間眺めてきたホテルのバーテン少女の存在を初めて意識した時、彼の8年間の生活はからからと音を立てて崩れていく。
何だかすごい映画でした。アバンギャルドでノワールで、ハードボイルドかと思えばおかしみがあり、なおかつ切ないという今まであんまりみたことのないイタリア映画。
自らが望んだわけでもなく過去のトラブルからマフィアとの関係を強いられ、家族との絆を犠牲にしストイックな生活に徹し周囲を遮断してきたティッタが、ようやく普通の人間関係を築けるかのように見えた時に起きる不慮の事故。半ば暴走気味で突っ走った挙げ句、自分が遮断してきたつもりだった中にも実は信頼であったり友情が存在したことに気付いた時にはすでに遅く、気付かなかった自分に対する罰であるかのような最後はあまりに究極。持って回ったような哲学的なティッタの語り口と、彼に思いを寄せるソフィアや彼の異母弟、マフィアのチンピラからつきに一度の顔を合わせる銀行の人々、ホテルの老夫婦や遠く離れた家族のセリフに至まで張りつめた中にもユーモアを感じさせるようなセリフや音楽づかいも絶妙で、スタイリッシュな映像に目が釘付けでした。
まだ35歳くらいのP・ソレンティーノは今後も要注目の監督。
原題:Le conseguenze dell'amore 監督:パオロ・ソレンティーノ 2004年製作
出演:トニ・セルヴィッロ、オリヴィア・マニャーニ、アドリアーノ・ジャンニーニ
@イタリア映画祭2005(2005.4.29~2005.5.4)にて
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