パリに住むリュックの元をある晩突然訪れてきた兄のトマ。トマは血小板の数が減少し出血すると血が止まらなくなってしまう病気を患い、明日にも2度目の入院をしなくてはならないという。付き添ってほしいという彼にリュックは漠然と付き添うことを承知する。
登場人物は兄弟の両親であったり兄弟の恋人、病院で出会う人々、海岸で出会う老人など決して少なくはないのですけれど、際だってくる兄弟の関係というか絆のようなものが次第に濃密感を増していく。最初のうち、兄から不治の病と死への恐怖を聞かされて入院へ立ち会う弟のほうは一見とても献身的に見えるけれど、なんとなく本能・道義的に行動しているだけ、というか中身がついてきていないようにみえます。けれども次第に生気を失い衰えていく兄の姿やその周りを取り巻く人々と触れる、というより見つめ感じることによって、長い間途絶えていた関係の穴を少しずつ繕ってゆき、兄弟のお互いが個々の存在を本当に受け入れていく様が印象的でした。程良い距離を保ちつつ終わってみると気持ちが満ちているような、繊細な作品で。
原題:Son Frere 監督:パトリス・シェロー 2003年製作
出演:ブリュノ・トデスキーニ、エリック・カラヴァカ
@ユーロスペース
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