2/17/2005

Ray / レイ

昨年6月に急逝したレイ・チャールズの自伝的、というより自伝映画。

 早くに亡くなったミュージシャンの自伝を元に脚色なり設定を少々いじった作品はジャニス・ジョプリンが元になってる『ローズ』などなどありますけれど、この作品は製作の段階でレイ・チャールズ自身がオーディションに立ち会うなど映画製作に対する積極的な意欲の現れを感じるのですが、全体的に真摯な姿勢を感じます。

 ドラッグや女性関係の問題、また彼のルーツを語る上で忘れることのできない小さくして亡くなった弟の死へのトラウマや母親のこと。バックコーラスで愛人関係にあったマージーの死に際しての責任にも派生してるのかと思うんですが、きっと彼は目が見えなくなったことは弟の死に対する神様からの罰だと思っていて、それを心の弱さだったりいろんなものから逃れたい時 ドラッグに逃避してしまう口実にしていたんじゃないんでしょうか。でも目が見えなくなったことでいかに優れた耳を授かったかということを知り、そしてそれを磨くことができたわけなのでジレンマもあったでしょうね。その辺がすごく素直に描かれていていたことで彼の心の闇の深さや苦悩を初めて知った人も多いだろうし、本人もどうしても描く必要があったのでしょうね。だからジョージア州での音楽活動を認められなかったことをはじめとする公民権運動にまつわる話は描き方次第ではもっと映画の核になりそうなネタだし、いかにして彼が差別と闘ったかという やや聖人的な描き方もできたかも知れないけれど、あえてさらりと流したのかなともちょっと思いました。そういう意味では製作時に彼が自分の体のことをどれだけ知っていたのかは分からないけれど、最後の告白のような気もします。

 J・フォックスの本人が乗り移ったかのような熱演、というかそっくりぶりはたしかにすごいなーと思いましたけれど、見おわったあとにじっくり歌詞を読みながらレコードが聴きたくなるような作品でした。

原題:RAY 監督:テイラー・ハックフォード 2004年製作
出演:ジェイミー・フォックス、ケリー・ワシントン、クリフトン・パウエル
@みゆき座

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