「ナイト・アンド・デイ」「恋をしましょう」「ビギン・ザ・ビギン」などなど数々の名曲を作詞作曲したコール・ポーターとその妻リンダの物語。人生の終わりを間近にしたコールが演出家のゲイブ(=大天使のゲイブリエル)に見守られながら自らの人生をミュージカルにして振り返る。華やかなパリの社交界でのリンダとの出会いと結婚。豊かな才能を感じ取り同性愛嗜好までも含めた彼の全てを享受するリンダに後押しされて成功への階段を登りつめるポーター。夫婦に危機が訪れることがあっても根本のところで互いが一番自分にとって大事なのは相手だけだということが分かっていたから乗り切ることが出来たし、リンダが病で倒れると同時にコールの才能も封印されてしまった。どんなに他の男と関係をもとうが彼女は彼にとってただ1人のかけがいのない人だったのでしょうね。
劇中にも登場してた映画『夜も昼も』はそのタイトル曲とケイリー・グラント出演作ということくらいしかわたしは知らなかったけれどこれも二人の物語だったのですね。大作曲家とその妻の内助の功が光るストーリーはきっと往年のハリウッド映画好みの題材だろうとは思うけど、もちろんその当時夫の両刀を描くことはタブーもタブーだったろうからきっとこれを見た後に借りてみたりしたらちょっと印象違うだろうな。
二人の物語をポーターの歌で織りなしていくのはR・ウィリアムズやE・コステロ&D・クラール夫妻、A・モリセット、S・クロウにN・コール、M・ハックネルなどなどの超豪華ミュージシャンたちですけど、歌ってる人々もすごいけどやっぱ歌詞がすばらしい。内容が場面場面にあまりにはまりすぎて。プログラムに載ってたジャズヴォーカリストの大橋美加さんのコメントによればポーターの音楽はまず先に言葉=歌詞ありきだから1曲がすごく長いんだそうですが、その韻やら言葉のチョイスが絶妙でいかにも「ソフィスティケート」という言葉がピッタリ。そんなニュアンスを的確に伝えてくれた今回の松浦美奈さんの字幕は冴えまくりとしか言えません。
K・クラインはすごく器用なところを発揮してたというか芝居や歌もさることながら今回はピアノも頑張ったというからさすがですよね。歌の上手なのはメグ・ライアンと共演した『フレンチ・キス』のエンドクレジットで「Mer」披露した時からいい雰囲気とは思ってたけど今回はさらによかったです。あとはA・ジャッドは役柄からお芝居、着てるお洋服までとにかくステキの一言!
多分去年見てたら個人的には去年の1等賞映画に間違いなく挙げていたでしょう。期待どおりのすんばらしい作品で大満足でした。今年はまだ明けたばかりなので1等にするのは早いけど、ぜひゴールデングローブ賞とかアカデミー賞とか獲ってほしい作品です。
原題:DE-LOVELY 監督:アーウィン・ウィンクラー 2004年製作
出演:ケヴィン・クライン、アシュレイ・ジャッド、ジョナサン・プライス 他
@シャンテシネ
0 件のコメント:
コメントを投稿
(※営利目的、表題に無関係な主義主張・勧誘のコメントは削除します。ご理解ください)