唐の時代の中国。反政府組織・飛刀門の最強の刺客が遊郭に潜んでいるとの情報を得た朝廷の捕吏、劉と金。客に成りすまして遊郭へ潜り込んだ金は美しい盲目の踊り子に化けていた刺客・小妹(シャオメイ)を宴席に呼び出し、あとからやって来た劉が彼女を捕らえることに成功する。しかし小妹を投獄した後、劉はとある策略を持ちかける。それは金が小妹を牢から逃すふりをして、おそらくアジトへ戻るであろう彼女を追い、飛刀門の組織を見つけて一網打尽にすることだった。計画通り小妹を脱獄させて逃亡を図る金。追っ手から身を守ってくれる金に小妹も信頼を寄せていくが、一方の金は小妹への気持ちと 劉の話以上に真剣に二人の命を狙って攻撃を仕掛けてくる捕吏たちに次第にとまどいを隠せなくなっていく…。
(オチを連想してしまいような記載があります。未見の方はご注意を)
幾重にも仕掛けられた謀(はかりごと)に翻弄される男女の悲恋を描いた作品。美術がきれいでした。チャン・ツイイーの可憐さ、アンディさんの貫禄、金城くんの普通っぽさ(…)が光りました。普通っぽいというのはそんなに悪い意味ではないんですけど結局彼だけが訳分かっておらず「なになに、これってどうなってるの?!」的なオタオタ感がよかったかな、と。まぁほかの二人に比べればどうしてもテレビドラマっぽいなぁという風に感じてしまうのはお茶の間露出度が高いからってのもあるんでしょうけど。
お話的にはうーん…あえてチャン・イーモウが撮らなくてもという気はしないでもないですね。恋愛もの、とは一概には言えないだろうけれど「英雄」のほうが好みです。ワイヤーアクション、というか中華太鼓の拍子にあわせての大立ち回りというのはアクション場面で欠かせない要素になって久しいのかもしれないけど、いくら今回は小刀がひゅんひゅん飛んでくるとはいえやっぱもう目新しくはないし、正直ツイイーが小鼻に力を入れて「はっ!」とか「ふっ!」とか反っくり返ったり開脚してる映像は見飽きた感があります。やってる彼女自身もそうじゃないのかなぁ。
でも一番「イーモウさんよ、あんたもかい…」とため息がでたのは雪原場面の三角構図(勝手な通称:レザボア構図)ですねぇ。きれいではありますよ。でもクライマックスのこの構図ってついこの間もアメリカ映画で観たような気がするし、ここ半年さかのぼればインド映画とか、ジョニー・トーの映画でも観たような。うーん…あえてまた言いますけど「あなたまで撮らなくても」。。
そろそろもう少し小粒でしまったドラマを観たいです。
(@渋谷エルミタージュ)
原題:十面埋伏 (House of Flying Daggers) 2004年製作
監督:チャン・イーモウ
出演:金城武、アンディ・ラウ、チャン・ツイイー
8/30/2004
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