6/10/2004

アマル・アクバル・アントニー

  解説によれば70年代のインドで流行したマルチスターシステム映画とのこと。その当時にはハリウッド映画でもよく撮られてたと思うんですが豪華スターの共演作品なのですね。たしかにあんまり、というかほとんどインド映画を知らないわたしでもアミターブ・バッチャンやリシ・カプールの名前は聞いたことがありまする。

 雇い主の身代わりに投獄され出所してきた男。数年ぶりに再会した妻は病を患い子供は飢えて泣いている。家族を十分養ってくれるはずだったと主人のもとへ抗議に出かけるが、そんな約束など一切知らないと屈辱的な態度で一蹴される始末。腹を立てた男は主人の車を奪い家族と逃亡を企てるが家へ戻ると貧しい暮らしを嘆いた妻は死を決意して家出した後。彼は子供たち3人を避難させたあと主人の追っ手をまこうとするが車は崖から落ちて大破。命からがら逃げた彼は車に積んであった金塊を担いで子供たちの元へ戻るがその場には影も形もなかった。実は父親の帰りを待つ間長男は警察署長、次男はサイババを信仰する仕立屋、三男は神父に拾われていた。やがて22年の歳月が流れ、ある日ひとりの老婆に輸血を施すため、成長した3人兄弟は思いがけず互いの素性も知らずに再会することになる。

 前ふりだけみてると、こう…硬派な、因果な復讐もののような感じがするんですけどぜーんぜん違うんですよ。かなり笑える大娯楽、しかもかなりB級臭いアクションムービーでした。例えばその元の主人に会いに行った3人の主人公のお父さんが主人にバカにされて拳銃を奪い取りいきなり発砲するんだけど、撃たれた主人はファッハッッハとか笑いながら起きあがると銀の経帷子みたいなチョッキ着てるし、その後 家を出てったお母さんが道を歩いてると突然かみなりがバリバリ落ちて次の瞬間お母さんの目が見えなくなってたり、タイトルが出てくるまでに??なんで??と突っ込みどころ多数。その後成長してからの3人が登場してからも恋物語やら、家族と再会したりなんだりとエピソードは満載なんだけど、なんか強面風のアントニー(バッチャン)は明るい緑色の革ジャケットなんか着ちゃってイキがってるくせに見た目と違ってあんまり強くないし、アクバル(カプール)は軟派な子デブちゃんだし、警察官役でかたぎ風のアマル(カンナー)は唯一まともなのかと思ってたらいきなり最後にはひとりチンドン屋さん風になってるし、なんだか大変。もー3人の名前がサビの歌詞になってる歌なんて聞いてるだけで気恥ずかしくなっちゃってやや赤面。アクション、お笑い、親子・兄弟涙の再会&復讐劇などなどベタベタの展開が気持ちいいほど画に描いたとおりで楽しすぎました。フィルムセンターでこんなに苦笑じゃなくて爆笑するとは思わなかったです。おそるべしアマル・アクバル・アントニーッ!

原題:AMAR AKBAR ANTHONY 監督:マヌモーハン・デサイ 1977年製作
出演:ヴィノード・カンナー、リシ・カプール、アミターブ・バッチャン
@アジア映画―“豊穣と多様”
 福岡市総合図書館フィルム・アーカイヴ所蔵アジア映画コレクションより
 (2004.4.27~6.27開催)


0 件のコメント:

コメントを投稿

(※営利目的、表題に無関係な主義主張・勧誘のコメントは削除します。ご理解ください)

popular posts