結末に触れるような箇所があるので未見の方は(もう今さらあんまりいらっしゃらないかもしれないけど)ご注意を。
もうひと月も前に観た作品なので半ば忘れかけてるんですが、おもしろかったことは確か。年老いた父親と二人暮らしのベストセラー作家サラ。スランプに陥り担当編集者に勧められるままに彼の南仏の別荘にやってくる。金持ってるくせに貧しい食生活、外食すればデザートをお皿まで舐めそうな勢いでバカぐい、コッソリ飲んだワインを水で薄めてバレないようにするそのセコさ、流行というといまだにスウィンギングロンドンが浮かんでしまうちょっとカビ臭いおばさん作家の描写は、デフォルメされてるようで怖いぐらいリアルというか醜悪というか。でも彼女がときおり見せるあきらめ入った寂しげな表情が別荘の手入れのされていない、雑草生い茂った中に咲く1輪の花に移動していく場面など繊細な描写がこれまたウマい。オゾンのオバ観察眼にはひたすら感心するばかり…というかコワイです。
例によってお話しの運びかたからして相変わらず「巧み」なオゾン作品。結末に関しては諸説ありますが、わたし思うにたぶんサラがババ根性全開にするあたりから物語は劇中劇化してるような。レディコミ系サスペンス劇中劇というか。事件後のオタオタ隠ぺいに奔走する彼女のあわてっぷりも一見リアルだけどとってつけたような印象もあるし。じゃどこでその引っかけが厳密に最初にどこに仕掛けられてるのかというのがいくつも推測可能でその辺ぐるぐる今も考えてる…。なんだかノド元カイカイしてきたのでもう一回見返したくなるけれど、それってオゾンの思うツボなんでしょうね。またヤラれちったなぁマイッタなぁという感じ。でもきっと近所に来たらまた観ます。…最近こんなのばっかだね…(@シャンテシネ)
原題:SWIMMING POOL 監督:フランソワ・オゾン 2003年製作
出演:シャーロット・ランプリング、リュディヴィーヌ・サニエ、チャールズ・ダンス
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