オランダの画家フェルメールの代表作「ターバンを巻く少女(真珠の耳飾りの少女)」の制作秘話。元になった小説があるそうですですけれど、いまだによく分かっていないことが多いというフェルメールの私生活やあの絵が制作されるまでのエピソードがいかにもこうだったのかも、と思いこんでしまいそう。
タイル職人の父親がケガをしたためにフェルメール家へ奉公にやってきたグリートを演じたS・ヨハンソンがとても上手。おどおどしているけれど心の強そうな少女から一皮むけるあたりまで気持ちの揺れ具合の描写がうまかった。絵になる子ですよね。あと印象的だったのはフェルメールの妻。子供をごろごろ産むためだけの存在、それしか能がない無能な女と夫に思われていると悟った時の悲しさと悔しさがあまりに哀れ。グリートを追い出したあとのあの家はどうなっちゃったんでしょう。と眉毛のない二人の女性の芝居に注目してしまいました。
しかしなによりオスカーにもノミネートされていた美術関係がすんばらしい! 全体の沈んだ陰鬱なトーン、というか深い陰影がいかにもあの時代のオランダらしくておみごととしかいえません。美術を担当したベン・ヴァン・オズという人はP・グリーナウェイ一連の作品を手がけていたのですね。そういえば「コックと泥棒、その妻と愛人」でレストランを訪れる泥棒一味のスチールの構図(あれもまた完ぺきで美しかった!)がフランドルの画家の作品をモデルにされているという記事を読んだことがあるんですが、これまたなるほどと大きく納得です。これだけでも手元に置いておきたくなる作品でした。
原題:GIRL WITH A PEARL EARRING 監督:ピーター・ウェーバー 2003年製作
出演:スカーレット・ヨハンソン、コリン・ファース、トム・ウィルキンソン
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