3/30/2004

ドッグヴィル


真っ暗なスタジオに白線を引いて仕切ってある全体の構図も進行もなんとなく舞台芝居っぽいつくり。でも芝居みたいな一発撮りならいざ知らず、それがだだっ広い閉鎖された屋内の中で延々何日も撮影が続けられたなら役者が精神的にまいるのも納得。閉塞感からの臨場感というか狂気も高まるというものでしょうけれど。ましてや重しつきの首輪with鳴り物なんてくっつけてたらばそ相当ストレス溜まるでしょう。ニコールが撮影時にブチきれた説が流れたこともありましたがそれもまた納得。

語り口は「本当は怖いグリム童話」風。別に閉鎖的な土地/村を舞台にした話自体はどこの世界にもあるだろうし、コミュニティのゆがみも取り立てて変わったことじゃないとは思います。でも結末のわりと短絡的な解決方法とエンドクレジットで流れるボウイさまの「Young Americans」はブラックユーモアを通り越したものを感じてしまいました。シャレというより嫌み? あれでニコールの役をジュリア・ロバーツとかが演じていたらより嫌み度は増したような気がしますけど出る方はイヤでしょうね。トリアーも意地悪映画もきらいじゃありませんが、一部に見られるような最後の復讐に快感を覚えたとかすっきりしてしまうような人にはなりたくないなぁ。

しかしトリアーは以前に受けたという「アメリカに行ったこともない監督がアメリカの物語を撮れるわけがない」発言には相当頭に来たんでしょうねぇ。っていうかそんな暴言ぬかす輩があまりにもバカすぎて、いちいち相手にしてるほうもどうかとも思うけど。トリアーはこの先(本作を入れて)3本はアメリカを舞台にした話を撮ってやるなんて言ってるらしいからその根はかなり深いんでしょう。次回の意地悪が楽しみです。

真っ暗な背景に浮かび上がるニコールの縦に細長〜いシルエットとハイビジョン撮影のような布一枚隔てた林檎の中で眠る場面はこの先当分忘れられないシーン。(@シャンテシネ)

原題:DOGVILLE 監督:ラース・フォン・トリアー
出演:ニコール・キッドマン、ポール・ベタニー、パトリシア・クラークソン

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