5/15/2024

異人たちとの夏


「異人たち」を観て、山田太一の原作も読了後からの初見。
 両親と主人公と恋仲になるマンションの住人「ケイ」の存在も含めて、よりゴースト・ストーリー味が強かったように思う。というかたぶんそれはこちらの気の持ちようによるものだと思うけど、むかし夏のお盆の頃によくテレビでやっていたような「怪談」を連想。両親や恋人と会うたびに、当人は気が付かないけれど生気が抜かれていくように外見が変わっていくというのも典型的な幽霊話っぽいし(原作どおり)。両親との再会と別れも、仕事仲間の手助けでケイとの関係を終わらせるのもお盆テーマで区切りがつくのが、悪い意味でなくドメスティックな印象。この時期ならではのひと時の夢というかなんというかやっぱり怪談だなあと。なのでケイの顛末に関してはもっと原作によせてドライなほうがぞーっとしたかも?とも思ったり。

 比べてみてどうこうではないけれど、両作とも基本原作に忠実といえば忠実。「異人たち」は主人公の属性や登場人物を減らしたり寄り添うオチにしたことで「US」というのがより2人にフォーカスを合わせた良い翻案だったと思う。
 日本版は上記の顛末を除いて原作に9割ぐらい忠実で、お盆の風物詩じゃないけれど夏限定の異人3名様という感じだろうか。でも鶴太郎と秋吉久美子の両親はチャキチャキしていて好感が持てたし、ひぐらしが鳴くなかの別れのシーンにはやっぱりぐっときた。あの場面は今半のすき焼きも「異人たち」のレストランのお子様セットのシーンもとても好き。そんなあとに続くので名取裕子のシーンがちょっと余分に見えないこともないのよね(異人たちのほうでは初見だったのもあり驚いたけど)。それをカバーするための映画ならではの派手〜な退散シーンだったのかなとも思えたり。

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監督:大林宣彦 1988年製作
出演:風間杜夫、名取裕子、片岡鶴太郎、秋吉久美子、永島敏行


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