1/22/2023

ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY


  ホイットニー・ヒューストンに関するドキュメンタリーはここ数年何作か作られてきたけれど、今度はバイオグラフィックフィクション。

 実際にホイットニーを見出したクライヴ・デイヴィスがプロデューサーとして関わっているということで、ドキュメンタリー作品にあった暴露的衝撃こそほんの少しトーンダウンしているように見えるけれど、パーソナルアシスタントを務めてきたロビンとの関係や、父親との金銭トラブルにドラッグ関係まできちんと描いているあたり、避けては通れない事実だったのだなと思う。しかしなんといってもディヴィスと出会うレコード契約前のステージ、初めてのテレビ出演、スーパーボウルの国歌斉唱、晩年のオフラのショー、そしてAMAのステージなどすばらしい歌唱シーンは、もちろん音源はホイットニーの実際の歌声で吹き替えてあるとはいえ、演じるナオミ・アッキーがホイットニーに見えてくる。本当に唯一無二のThe Voiceと呼ばれた眩すぎるばかりの歌唱力に今でも感激するけれど、その裏側にあった弱さや苦悩の影の濃さとのギャップが惜しくてとても悲しくなってしまう。歌えれば幸せだった彼女がヒットを飛ばし世界的なチャートで成功を収めることでブラック音楽シーンからはハブられ、気丈に立ち向かおうとしたときにそばにいたのがボビ男で、周りが止めれば止めるほど逆らうように依存してしまったのが運の尽きだったのか。

 晩年のホイットニーの声は、たしかに様々な不摂生の影響は否めないのだろうしあの全盛期からすれば…という感想は誰もが抱くのかもしれないけれど、個人的には最後のアルバム I Look to You のちょっとハスキーな歌声と、それまでのスタジアム級の会場ではなくジャズクラブが 似合いそうな雰囲気はとても気に入っていたので、彼女の早すぎる死はとてもショックでもあり悲しかったことを記憶している。そんなことを思い出してオフラライブのシーンでは思わず涙してしまったのであった。

 そんな波乱万丈とも言える彼女の最後の日の描写にアメリカン・ミュージック・アワードのメドレーシーンを持ってきてたっぷり観せて聴かせる作りは『ボヘミアン・ラプソディー』を思い出したのだけれど、脚本が同じ人だったのかと改めて納得。

原題:I Wanna Dance with Somebody 監督:ケイシー・レモンズ 2022年製作
出演:ナオミ・アッキー、スタンリー・トゥッチ、タマラ・チュニー、ナフェッサ・ウイリアムズ
@109シネマズ二子玉川 2023.1.4 鑑賞

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