1/22/2023

ヘアー

 60年代後半にオフ・ブロードウェイから上演されたミュージカルの映画化。アクエリアス〜レット・ザ・サンシャインの歌は聴いたことはあったけれど、ベトナム戦争に対する反戦的なメッセージ色の強い伝説的ミュージカルぐらいの認識できた自分は今回の今回の午前十時の映画祭で本編初見。まさに反戦を訴えたそれそのものなのだけれど、映画化されたのはベトナム戦争終結から4〜5年後。戦争やヒッピー文化のただ中で行われた舞台上演は内容的にも演出的にもセンセーショナルだっただろうと思うけれど、映画公開時にはどう受け止められたのかしらと映画を見ながら思ってた。
 舞台版と映画版の違いは知らないので詳しいことはわからないけれど、実際大勢の若者を戦地に送り込んだ挙げ句、結局なんのために戦ったのか何が残ったのかという喪失感だったり漠然とした記憶がおそらく濃淡はあれどまだ引きずられていたであろうアメリカの戦後社会で、劇中戦地に向かう友人クロードのためにわざわざ長髪を切り軍服に身を包んだ、それまで兵役を拒んできたバーガーがちょっとしたアクシデントで機械的に戦地に送られてしまうという皮肉な結末はやっぱり特別な余韻が残ったんじゃないだろうか。
 直に戦わなくとも世界を巻き込むような戦争が起きている今の時代、本作を鑑賞できることって重く大きな意味があるように思う。


原題:Hair 監督:ミロシュ・フォアマン 1979年製作
出演:ジョン・サベージ、トリート・ウィリアムズ、ビヴァリー・ダンジェロ
@午前十時の映画祭 TOHOシネマズ日本橋 2023.1.15鑑賞

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