6/07/2023

ジャニス:リトル・ガール・ブルー

 不世出の女性ロックシンガーとして今も語り継がれるジャニス・ジョプリンの生涯を記録映像や写真、かつてのバンド仲間など身近な人々の証言を交えて描かれたドキュメンタリー。
 ジャニスを元にして描かれたフィクション作品で思い当たるのはベッド・ミドラーの『ローズ』。まさに60〜70年代のSex, Drag, Booze & Rock'n Rollというか、生き急いだシンガーを描いた物語だったけれど、ロッカーとして成功する前のローズは不幸な高校生活を送ったという描写があったように思う。
 幼馴染や学生時代のジャニスを知る人々の証言によれば、実際の彼女も学校生活に馴染めずハブられるような子だったらしい。大学進学後にシンガーとして活動するようになった彼女はやがてレコードデビューを飾り、その唯一無二の歌声で人々を魅了し押しも押されぬロックスターになる。しかしそうした成功後に意気揚々とハイスクールの同窓会に出席したものの、彼女にまともに話しかけてくるような学友はほとんどいなかったというエピソードが切ない。ジャニスにしてみればかつて自分を仲間に入れてくれなかった人々に認められたい、受け入れてもらいたい一心だったのだろうに。
 離れて暮らす故郷の家族との結びつきは強かったが、寂しさと名声の間で心身をすり減らし、彗星のように駆け抜けてしまったジャニスの人生は決して幸せとは言えなかったのかもしれないけれど、観客に見せ付けたその光は今もそしてこの先も輝き続ける。


ジャニスの妹さんが書いた本

原題:Janis: Little Girl Blue 監督:エイミー・バーグ 2015年制作
出演:ジャニス・ジョプリン(ドキュメンタリー)

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