アンリ=ジョルジュ・クルーゾーが主演にロミー・シュナイダー、セルジュ・レジアニを迎え巨額の製作費で撮影を始めたものの撮影の遅れ、監督の急病により頓挫、結局製作中止となってしまった『地獄 (L'ENFER)』の製作ドキュメンタリー。
映画は美しいアーチ型の高架橋がかかる湖畔でリゾートホテルを営む新婚の夫婦の物語。やがて妻が宿泊客と関係を持っているのではと疑い始めた夫が、次第に猜疑心を深め嫉妬のあまり精神的に追い詰められていく様子が描かれるというもの。
出演者衣装合わせから撮影時のオフショット、湖の水が抜かれる予定になっていてそれまでという期間限定で撮られたという風光明媚なロケ地、様々な視覚効果を狙った実験的映像、なにより音声は入っていないものの撮り進められていったテイクの数々に、できあがっていたらどんな斬新な作品になったのだろうと、最終形を観ることができなかったことはとても残念なのだけれど、単なるメイキングというだけでない濃厚な撮影の記録は十分に見応えがあった。
本作は未完のままに終わってしまったけれど、脚本を元にクルーゾーの死後クロード・シャブロルがリメイクしたのが『愛の地獄』とのこと。
原題:L'Enfer d'Henri-Georges Clouzot
監督:セルジュ・ブロンベルグ、ルクサンドラ・メドレア 2009年製作
出演:ロミー・シュナイダー、 セルジュ・レジアニ、ベレニス・ベジョ、ジャック・ガンブラン
没後40年 ロミー・シュナイダー映画祭
@Bunkamura ル・シネマ 7/29鑑賞
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