チリ南部のパタゴニア地方にはかつて水辺に暮らす先住民の部族が多くいたが南米のほかの土地同様、入植してきた旧大陸の人間によってほとんどが虐殺された。それは19世紀初頭、貝殻のボタンと引き換えに調査船にのせられたひとりの先住民の青年ジェイミー・ボタンの案内に基づき作成された地域の地図が結果的に発端となった。時は流れ20世紀も後半、クーデターによって誕生した軍事政権によりチリは再び罪なき人々が憂き目に遭う。捕らえられ拷問を受けたあげくに鉄柱にくくられてパタゴニアの海に投棄された人々。その痕跡を求めてパタゴニアの海に潜ったダイバーは鉄柱に付着した遠い時代のボタンを見つける。あまりにつらい過去と現在の融合に言葉もない。
水辺の人々に伝わっている歌声はホーミーを思わせた。
原題:El Boton de Nacar 2015年製作
監督:パトリシオ・グスマン (ドキュメンタリー)
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