6/24/2017

台北ストーリー

  エドワード・ヤンが監督でホウ・シャオシェンが主演という本作が今まで一般公開されていなかったっていうのは少し意外な気もしたけれど、まさに待望の公開。

 観るたびに画面に映し出されるビル街のシーンも登場人物たちの雰囲気もどことなく懐かしく感じて感覚的には70〜80年代ぐらいでいたのけれど、前回見たとき劇中でフットルースがかかるシーンでああ80年代も半ばなんだ、と気がついたときに軽くショックを受けた記憶が。ついこの間と思っていても時の流れを一気に感じてしまったり。

 過去を捨てたい女ととどまりたい男、みたいなコピーを読んで、たしかにざっくり置き換えればそうかもしれないけれど、アジンは過去を捨てたいというより家族との関係にしてもアリョンとの関係にしても、それぞれと対等の関係で一緒に前に進んでいきたいと思ってるひとのように思う。対してアリョンは過去に囚われてるというより自分も周りも変わってる現実をうすうす以上には感じていなくて、何気ない出来事にやら物事に詰まったときに初めてガーンと打ちのめされるタイプに思う。そんなところがついこの間と思っていたことがもう相当の時が流れてたことに気づいて「うわ、」と思う自分もアリョンになんとなく感情移入しやすいのかもしれない。アジンの、時にはキッパリ・時には漠然とした抵抗というか抗う気持ちも分かるような気がするけれど。変わっていく景色や人の関係と自分との距離に気づいて思わず苦笑して。ノスタルジックな雰囲気に浸りながらもそういった小さな気持ちの揺れが自分には結構身近に感じられる作品だった。

 70年代って思い込んでいたのは劇中にでてくる「コバヤシ」の固有名詞だったり、あとはやっぱりアリョンの最後のシーンが松田優作の「Gパン」を連想しちゃうからかもしれない。

 登場人物みんなの芝居がよかったと思うけれど、いい映画監督って演技もちゃんと出来るんだなって毎回思うホウさんがやっぱりとてもいいな。

@ユーロスペース

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