元東ドイツの花形スポーツ記者で今や怪しいクラブを経営しつつも落ちぶれてビリヤードで荒稼ぎをするしかない、ヤーコプ・"ジャッキー"・ツッカーマン。その日彼はビリヤードの対戦相手にぶんなぐられるは、女房にゃ家をおんだされるは、息子の務める銀行に借金返済を迫られるは、自業自得とはいえ踏んだり蹴ったりの目に遭う。借金返済のあては週末のビリヤード大会の賞金だけどその参加費すらない彼は整体院を営む長女に金を借りに行くが当然門前払いをくらう。途方に暮れた彼の所に知らされたのは長いこと音信不通だった母の訃報。結局ビリヤード大会へ参加登録はなんとか済ませたものの、もしかして遺産でももらえるのではないかと妻と共に後見人の元に駆けつけるがそこには母親の遺言が。それはやはり長い間仲違いをしていた兄と仲直りすること、そして彼がずっと遠ざけてきたユダヤの形式に則って母親の葬儀を兄と共に滞りなく執り行うことだった。ジャッキーが14の時に母親と共に別居した兄の家は筋金入りのお堅いユダヤ教徒一家。はたしてナンパなジャッキーは兄と和解し無事に遺産も手にすることができるのか。
公式ページによると「1933年以後のドイツで撮られた初の本格的<ユダヤ映画>として歴史的な意義をもつ大爆笑喜劇である」とのこと。「大」かどうかは人それぞれと思いますが、ユダヤ・元東独出身・ゲイ・身内同士の関係などここまでやるかってほどのいろんな要素が盛りだくさんの家族関係のドタバタ物語なのでおもしろくないわけはないだろうという感じ。様々問題を含んでいつどこで崩壊するか分からない危険をはらんでいても、結局最後は家族は家族。兄弟は兄弟。って今どき日本のワイドショーで連日大騒ぎしてる某兄弟にもみせたい気がしないでもないですが、ドイツの中のユダヤ系家族を描いたとはいっても慣習をのぞけば普通の生活を営んでいるわけで構える必要はないし喜楽に笑えるコメディです。しょうもないジャッキーとしっかりしてるけどどこかオタオタしてる奥さんの絶妙な芝居がよかった。
原題:Alles auf Zucker! 監督:ダニー・レヴィ 2004年製作
出演:ヘンリー・ヒュプヒェン、ハンネローレ・エルスナー、ウド・ザムエル
@ドイツ映画祭2005(2005.6.4~2005.6.12)にて
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