もともと史劇は好きなのでそうすると戦争映画なんかも古今東西みてしまう。指輪にしたって立派な戦争物。人間対サウロンの邪悪なオークたちっていっても立派な殺し合いですからね。
さてアメリカの近現代紛争/戦争を題材にした作品を観るとさすがにここのところ斜めに構えて観てしまっている自分がおりました。だったらわざわざ観なければいいわけなんだけれど、題材的にも興味がないわけではないし、今の実際に戦争が行われているような世の中であえてそういった作品が作られるのは別に国威昂揚とかそういう理由だけでもないだろうからね。
そんなわけで『アラモ』です。アメリカじゃ忠臣蔵的なお話ということですけれどジョン・ウェインが出ていた西部劇であったよなぁくらいのことぐらいしか知らないで、デイヴィー・クロケットがこの時に活躍した人だなんてことも知りませんでした。赤っ恥に近いというよりそのものの無知レベルです。
1830年代テキサスがかつてメキシコ領だった時代に独立を求めて人々が蜂起した話。アラモはその最前線に建つ教会でこれが砦になったわけですね。元をたどればあとから来たのはアメリカ人なんだし、その辺の史実はあとで歴史の教科書でも見ることにして、この作品では結果としてテキサス軍が闘う兵力を準備できるまで ごく僅かな兵力でメキシコの大軍が領内に入り込むことを阻止し玉砕することになった義勇兵部隊と、その後「リメンバー・アラモ」の合い言葉の元、集結したテキサス軍がメキシコ軍をうち破るに至るまでの攻防というより濃密な人間ドラマが描かれます。正直なんで今「アラモ」なのという気がしないわけでもないですけれど、じゃあ何で今わざわざ「義経」なのとか「新撰組」なのとかいわれても答えられないですから聞かないでおきましょう。
監督のJ・L・ハンコックは同様にD・クエイドで撮った『オールド・ルーキー』のすがすがしさというか素直な作風が好きだったのですけれど、ここでもななめってしまいそうなイヤミはほとんど感じませんでした。クマと素手で戦ったとかそんな言い伝えが一人歩きしていたデイヴィー・クロケットにしてもトラヴィス、ボウイらも決して傑出した軍人然とした英雄として描かれているわけでなく弱さをもっていた一人の兵士として描かれているところのドラマも丁寧でよかったと思います。その後J・ウェイン版も見てみたけれど向こうも向こうで男臭くて面白かったけれど(戦い方とか騎士道精神に乗っ取ってる気もするし)先にこちらを見てしまったせいか、若干こっちのほうが好みです。
なんといってもディズニーがキャストに掛ける予算を渋って地味になったという巷のウワサのキャストですけれどこれで正解だった気がします。やっぱビリーボブ、うまいっすよ。あとメキシコのナポレオンことサンタ・アナ将軍を演じたエミリオ・エチェバリアさんの存在感といったらゾクゾクしました。それに最近どこかでみたけど誰だっけ?思っていたP・ウィルソンは『オペラ座の怪人』のラウールだったんですね。きちんとお芝居も出来ててよかった、というか先にこちらを見てから『オペラ座』見ていたら、もっとビックリしてたかも知れないな。
原題:THE ALAMO 監督:ジョン・リー・ハンコック 2004年製作
出演:デニス・クエイド、ビリー・ボブ・ソーントン、ジェイソン・パトリック、パトリック・ウィルソン
(DVD鑑賞)
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