2/06/2005

アレキサンダー

 古代史の英雄アレキサンダーの生涯を新解釈によってつづったO・ストーンの新作です。製作の段階から興味はあったんですけれど、まずスチール公表の段階でアレキサンダー役のC・ファレルのブロンド姿に「へ?」。次にしばらく経ってギリシャでの描写訴訟だか上映中止騒動に「え゛?」。ついで本国アメリカでは11月くらいに公開になっているはずなのになんにも噂を聞かないから「アレレ…?」そして年が明けゴールデン・ラズベリー賞総ナメ・ノミネートに「ほぇーっ?!」というわけで、一体どういうことになってるの…???というわけでさっさと出かけました。

 アレキサンダー大王というと世界史の教科書によく載ってるようなモザイク姿がおなじみ。征服した土地各々に自分の名前を冠した都市「アレキサンドリア」を造り、若くして東方アジアまでの大帝国を築いたカリスマ的英雄でありながら、熱病で志半ばにして夢やぶれた悲劇の大王というイメージが。映画に登場するアレキサンダーは風貌も壁画のそれとは違ってどちらかというと西洋人ぽさをだしたかのようなブロンドだし、ギリシャ発祥といえば同性愛…ってそれもまたステレオタイプ系解釈とは思うけど、別に映画では王と親しい側近というか将軍たちの結びつきは精神的なものがより大きく描かれていたので、たいして目くじら立てることもないかなと。ただ「何故に今、アレキサンダー?」。別に教育番組でこういうの見るのは楽しいからいいのですけれど、大金つぎ込んでまで今撮った理由はなんなのかしらというのはちょっと思いました。たぶんアレキサンダーが異文化に対してわりと寛容に接し、個々の文化をそこそこ尊重してきたことが帝国をあそこまで拡大できたこととかが今の世の中と照らし合わされたりして、その辺に監督の言いたいことが含まれているのかなという臭いはなんとなく感じるんですけれど、まずそこまでたどり着くのが長すぎて…なかなか気合いがないとついていけない。たぶんラジーはひとえにこの「長すぎダラダラ」が投票した人々には耐えられなかったのかなぁと。っていうか俳優のファンかネタに興味がないと集中力持続してみるのは難しいですよ、きっと。

 たとえば見所になるガウガメラの戦いの場面にしても、最近ああいう古代の大戦ものを相次ぐ話題作で比較的スクリーンで見慣れている観客にとっては目を引いたり鮮やかな印象を残せるようなセンスがないと結局どれ見ても同じとか、「指輪」に負けちゃうんじゃないかと思うのです。ここでは敗走しちゃうペルシャ王さんがちょっとかっこよかったし(…)、空を飛んでくるタカの視点みたいな撮り方もくすぐられるものはあったのですが、なんといっても「ギリシャといえばヴァンゲリス」のあの音楽の使い方がダサダサ…。曲の善し悪しは別にしてあの壮大な交響曲みたいなBGMを激しい合戦のうしろでダラダラ流してるのはちょっとセンスなさすぎ&興ざめじゃない?とガッカリしました。音次第ではもっとスリリングに見えそうなものなのにほとんどメリハリ感じられないのは、ひとえにあれがいけないと思います、ハイ。でも最後の戦闘場面インドのゾウさん部隊との戦いは迫力や鮮やかな色彩など強烈でした(撮影はタイで行ったそうですが、監督はタイ映画の「バンラジャン Bang Rajan」…たしか戦闘シーンでゾウさんがたくさん走っていたような記憶が…からアイディアを得たんだそうです)。

 結果から言うと別にわたし的には特に「ラジー」な映画ではなかったし、ノミネートしているヴァルやアンジーの芝居も悪いとは思わなかったし、アレキサンダーのブーケガルニみたいな名前の愛馬もかっこよかったです。ガウガメラ場面の音楽〜は別にしてどっちかといえば面白かった。でも途中やっぱり「長げ〜」と思いました。あと結局最後まであんましなじめなかったんだけど ムキムキ・コリンちゃんの金髪は顔的にヘンだと思います  ギャ。

原題:ALEXANDER 監督:オリバー・ストーン 2004年製作
出演:コリン・ファレル、アンジェリーナ・ジョリー、ヴァル・キルマー

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