1/15/2005

オールド・ボーイ

 オリジナルのコミックは読んだことがないので分からないけれどいろんな意味で世間一般の「韓流」より自分思ってるところの典型的な「韓国映画」に近い印象を受けました。どの辺が、というと実際に出血するしないはともかく「血ネタ」が根っこのほうにあったり、これってどこかで見たようなと思ってもいかにも堂々として、というかはずかしげもない継ぎ接ぎ具合ゆえに限りなくオリジナル風に見えてしまうあたりとか。その辺は向こうの人みんな脚色がうまいんですかね。最近なら去年TIFFで上映された『花咲く春が来れば』にしてもメインの話ではないサイドストーリーとはいえ炭坑夫とブラスバンドの組み合わせ使えば誰もが某イギリス映画のあれしか思い浮かべないでしょ、っていうベッタベタな場面を臆することなく見せてしまえる良い意味のある種のやってみたかったことをパクッて、もといやってみてどこが悪いみたいな開き直りとでも言うんでしょうか…が、韓国映画の勢い支えてるような気がしてます。ポン・ジュノみたいに「自分はシネフィルでおタッキー」とかいっててもすごい器用なオリジナリティ持ってる人もいるしその辺おもしろいですよ。

 さて作品ですけれど、わたしは出るにしろ出ないにしろ血がドロドロ&精神/肉体ともに痛い話は苦手。でもついつい観てしまったのは、要所の掴みがなんかみたいと思いつつちょっと凝っていたりクスッと笑えたり、やっぱメインで流れるお話の持って行き方にのっけられてしまったからか。誰が、というのは早々に分かってしまっても、その人物が他人を15年も監禁してしまうような理由って一体何さという。そこのおちで「血」の復讐には「血」をというあたりがすごく韓国らしさを感じるんだけど、全てが雪の中できれいに収束に向かうあたりの甘さもらしいな、と思わないでもない。その辺ちょっとなんだかなぁとトーンダウンしてしまったのだけれど、それでも最後、もしかしてそれまでの話って全部悪夢だったんじゃないかと思わせるようなデスの見せる表情がすごーくよかったから、文句はとりあえずなし。あれは『殺人の追憶』のラストシーン、ソン・ガンホ扮するパク刑事のアップ並み、ひょっとしてそれ以上にうまいーと思いましたです。

 そんなわけで確かに話もぐいぐいと惹きつけられるものはあるんだけど、やっぱチェ・ミンシクがいいですよ。もー冒頭の交番で酔っぱらって半分出バラだしてくだ巻いてるあたりから、ドスささったまんま金テコもって大立ち回りやら、あのぼーぼー頭でスーツばっちり決めてるあたり、その脂具合にホレました。あとはユ・ジテ。いままでホントに見るからに誠実そうなほんわかいい人って役柄が印象に残る彼だけど、今回はうってかわった偏執的な人の役。ある意味似合ってました。とはいえ時々見せる純なところがただでは転ばないと言うかさすが切なくて○。しかしあのヨガのポーズはすごいっすよ。あとミド役の女の子はどこかで見たようなと思ったら『バタフライ』に出てた子だったのね。なつかしや。

英題:OLD BOY 監督:パク・チャヌク 2003年製作
出演:チェ・ミンシク、ユ・ジテ、カン・ヘジョン
@シネカノン有楽町

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