構想、というか完成までの歳月は結局何年くらいかかったのか分からないけれどようやっと今年のカンヌ出品時に間に合ったということで話題になったウォン・カーウァイの新作。日本じゃキムタク出演ということばかりが何かとクローズアップされてきて(結局公開までそのスタンスはあんまり変わってなかったような気もしますけど)その辺香港映画ファンの方々にとってはさぞかしおもしろくなかったことでしょう。しかし火に油を注ぐかのようにこの作品を『スマ作品』の筆頭にあげて特集組んだ某映画祭には甚だ呆れましたっす。
さてウォン・カーウァイの前作『花様年華』の一場面でトニーだったか忘れましたがホテルの一室のドアをぱたんと閉めるとそこに表示されるルームナンバーがご丁寧に2046だったという場面があってその時に「ああ次の前ふりねー」とみていてクスッと笑ってしまった記憶があるのですが、おそらく『2046』の製作に関しての発表ってかなり前からアナウンスされていて『花様年華』が出てきた時には「そういえばアレってどーなったの?」という話をしていた気がします。ということは軽く4、5年は経ってることになりますね。何がいいたいかというと、もしかしてそれだけ監督にとっては軽々しく扱えなかった、というか大事に撮ってきた作品なのかも知れないけど、正直いって申し訳ないけど…そのわりにはあんまり成功していないというか、暖めすぎたゆえに熟れすぎて食べ頃を通り越してしまったような気がしました。
お話自体は別に嫌いじゃないしトニーとコン・リーの件とかチャン・ツィーイーとの絡みのエピソードは好きなタイプです。でもその間に絡んでくるフェイ・ウォンとキムタク扮する日本人青年との恋物語やらトニー扮する物書きが描くその二人、というか自分を見立てた未来小説「2046」の絡ませ方というのはちょっと懲りすぎていてまどろっこしい、というか全体的に各々のエピソードの配置がいまいちこなれていない印象が強く「なんでこんな流れなんだろ?」という方に頭がいってしまい中身に集中できませんでした。編集がイマイチってことなんでしょうか? なんかこう…かゆいところに手が届いてるのにおもいっきしかけない歯がゆさが残ってしまったのでした。思えば『恋する惑星』や『天使の涙』も二つのエピソードが同時に進行してちょっとした接点があったりしてたけど、今回は思い入れゆえなのかディテールに懲りすぎて収拾つかなくなったような気が。もっととっととサクッと撮っていたなら違ってたような気がしますけどどうなんでしょう。
また敢えて言ってしまうけどキムタク氏に関しては申し訳ないけどわたしはダメでした。普段から彼の出演するドラマやら番組をほとんど観てないからかも知れないけれど、俳優の中に紛れ込んだタレントさんという印象は最後までぬぐえませんでした。セリフのある場面は特に。監督が何を思って彼を起用したのかは知らないけど、金城くんの時みたいにはいってないなぁというのが正直な感想です。カンヌでの記者発表などの発言にも何となく漂っている気がしたのですが、おそらく一番感じているのはご本人なのでしょう。頑張って精進してほしいものですね。
原題:2046 監督:ウォン・カーウァイ 2004年製作
出演:トニー・レオン、コン・リー、チャン・ツィーイー、フェイ・ウォン、木村拓哉
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