8/12/2004

エルヴィス・オン・ステージ

 普段はキャッチコピーなんてあんまり信じないわたしですけども、これに関しては「まさに原点がそこにありました」。ロックの原点にエンターテインの原点、それからお笑いの原点(笑)。最後の「お笑い」っていうのはエルヴィス・ネタが登場するようなほかの劇映画やら、昔J・ベルーシとかよくやってたような「コスプレ&オーバーアクション」の元ネタってこと(…ベルーシが真似してたのはジョー・コッカでしたっけ)。

 メインで映し出されるラスベガスでの圧巻のステージでは後にいろんなミュージシャン達にカバーされたようなオリジナルナンバーもあれば、ほかのミュージシャンのカバー曲も多数あって馴染みの曲が多かったけど、その演奏力もさることながらその徹底したエンターテイナーっぷりがすごい。ステージに次から次に列をなすおめかししてやって来た女性客ひとりひとりにキスしてまわり、はてはステージ降りて客席練り歩いてまでサービスするなんて今じゃ考えられまへん。決して好きなタイプの顔ではないのだけれど、こうして改めてみると茶目っ気たっぷりな笑顔もチャーミングな人だったんですね。
 でも何よりも一番印象的だったのは作品の最初の方で映し出されるリハーサルでの彼のミュージシャンとしての真摯な姿かな。「昔の栄光で食いつないでぶよぶよに太って生涯を終えたショー・マン」という個人的に長年抱いてた偏見を100%改めたいです。

 70年に製作されたこの映画は公開前年の約10年間歌手としての活動をしていなかったエルヴィスが舞台に本格的に復活して改めて人気が再燃するきっかけとなり、最後まで結局地を踏むことのなかった日本でも空前のブームを巻き起こしたのだそう。今年はエルヴィスの歌手デビュー50周年ということでまたちょっとしたブームを呼ぶのかも知れません。
 今回上映されてるスペシャルエディションというのは71年の公開当時のオリジナル版に未公開シーンが加えられているそうですが、当時何度も劇場に通ったという知人に聞いたところ「明日に架ける橋」のステージバージョンが収録されてないのが非常に残念とのこと。うん、それは観たかった。

 ふと思ったのはベガスのショーというのがどんな雰囲気なのかわたしは全く知らないけど、もし現地に出かけるようなことがあったならエルヴィスのこれにしても、シナトラの何かにしても常に当地で観られたらまた雰囲気も違って楽しいだろうな、と思いました。古き良きステージは理屈抜きでかっちょよいです。(@東劇)

原題:ELVIS: THAT'S THE WAY IT IS 監督:デニス・サンダース 1970年製作
出演:エルヴィス・プレスリー

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