結婚間近のカップルに突然訪れた交通事故という不幸。「彼女」の彼に対する変わらない愛と同時にすり替わる同情、気持ちががどちらなのか分からなくなってくる戸惑い。「彼」の絶望からくる一切のものへの拒絶、「加害者の夫」の義務的に手を差し伸べたはずが勘違いのような、熱に当てられたような恋。それぞれの気持ちが(加害者である妻も含めて)なんとなく自然に分かるような気がしました。家族以前に人と一緒に暮らすということの責任のようなものとか、観ていてもし自分だったらどうするかしらと否応なしに考えてしまう内容でありました。
デンマークの実際の制度がどうなってるか知らないけれど、ああいう交通事故の場合って慰謝料とかホントに発生しないのですかね。映画としてあえてそういう事務的なこととかは描かなかっただけなのかな。とはいえ電動ベッドやらダンナが彼女に買い与えた家具の支払いを拒否する奥さんに「じゃあ他に賠償はしてるわけ?」とか突っ込みたくなったりして。あとから思えば入院費とか払ってたのかもしれないけどさ。
一見新しいそれぞれの道を歩み出し方に見えるような終わりかたではあったけれど、皆それぞれに関わって生きていくことは可能だし、それまで以上のよい関係を互いにも見つけれられるかもしれないそれぞれの再生を感じさせるような結末だったと思います。ドグマの映画はあんまり(…というか爆睡度が高くて…)得意ではなかったけれど、この作品はかなり好きでした。音楽の使い方や時折挿入される手持ちカメラで撮られた登場人物の空想シーンもよかった。(@三軒茶屋中央)
原題:ELSKER DIG FOR EVIGT(OPEN HEARTS) 監督:スザンネ・ビア 2002年製作
出演:ソニア・リクター、ニコライ・リー・カース、マッツ・ミケルセン
7/07/2004
しあわせな孤独
登録:
コメントの投稿 (Atom)
popular posts
-
サミー・ヘイガー and Friendsみたいな感じだけど、ライブを観てきた。メンバーはベース:マイケル・アンソニー、ギター:ジョー・サトリアーニ、公演発表時の予定ではドラムにジェイソン・ボーナムだったのだけれど、全米公演中に母上が急病となり代わりに抜擢されたのがケニー・アロノ...
-
第二次世界大戦の開戦初期、英国軍への物資供給を断つべく地中海より大西洋へと向かったイタリア海軍の潜水艦コマンダンテ・カッペリーニ号は、中立国ベルギー国籍の貨物船を撃沈する。中立国ではあっても敵の物資を運んでいた可能性もあった貨物船ゆえの攻撃ではあったが、沈没船から救命ボートに逃...
-
1970年代の後半、ニューヨークはマンハッタンの芸術専門学校を舞台に、成功を夢見て入学してきた若者たちの4年間を追ったポートレイト的群像劇。 演劇やダンス、音楽に通常の授業など様々なアートを総合的に学ぶ学校ではキャスティングのオーディションのように選抜試験が行われ、出自も人種...
-
1972年11月早稲田大学でおきた革マル派による在学生リンチ殺人を振り返るドキュメンタリー。再現ドラマパートの演出は鴻上尚史。原案は同名の書籍(「彼は早稲田で死んだ」樋田毅 著)。 自分が某大学に入学したのは80年代だけど、学生運動が活発だった時代が遠い過去になっていたその当...
-
アポロ11号の月面着陸映像は実は捏造されたものだった、とかいう話は何年かおきに話題になるし、いまだ捏造説を信じている人がいるとかいないとかいうけれど、そんな異説というかゴシップを逆手に取ったかのような本作。「ライトスタッフ」でおなじみのガス・グリソムが悲劇に見舞われたアポロ1号...
0 件のコメント:
コメントを投稿
(※営利目的、表題に無関係な主義主張・勧誘のコメントは削除します。ご理解ください)