7/07/2004

しあわせな孤独

 結婚間近のカップルに突然訪れた交通事故という不幸。「彼女」の彼に対する変わらない愛と同時にすり替わる同情、気持ちががどちらなのか分からなくなってくる戸惑い。「彼」の絶望からくる一切のものへの拒絶、「加害者の夫」の義務的に手を差し伸べたはずが勘違いのような、熱に当てられたような恋。それぞれの気持ちが(加害者である妻も含めて)なんとなく自然に分かるような気がしました。家族以前に人と一緒に暮らすということの責任のようなものとか、観ていてもし自分だったらどうするかしらと否応なしに考えてしまう内容でありました。

 デンマークの実際の制度がどうなってるか知らないけれど、ああいう交通事故の場合って慰謝料とかホントに発生しないのですかね。映画としてあえてそういう事務的なこととかは描かなかっただけなのかな。とはいえ電動ベッドやらダンナが彼女に買い与えた家具の支払いを拒否する奥さんに「じゃあ他に賠償はしてるわけ?」とか突っ込みたくなったりして。あとから思えば入院費とか払ってたのかもしれないけどさ。

 一見新しいそれぞれの道を歩み出し方に見えるような終わりかたではあったけれど、皆それぞれに関わって生きていくことは可能だし、それまで以上のよい関係を互いにも見つけれられるかもしれないそれぞれの再生を感じさせるような結末だったと思います。ドグマの映画はあんまり(…というか爆睡度が高くて…)得意ではなかったけれど、この作品はかなり好きでした。音楽の使い方や時折挿入される手持ちカメラで撮られた登場人物の空想シーンもよかった。(@三軒茶屋中央)

原題:ELSKER DIG FOR EVIGT(OPEN HEARTS) 監督:スザンネ・ビア 2002年製作
出演:ソニア・リクター、ニコライ・リー・カース、マッツ・ミケルセン

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