ホントは映画を観る前に今週発売のぴあが「キング・アーサー」と「サンダーバード」の巻頭特集を組んでいるので予習でもしとこうと思っていたんだけれど時間がなくてパス。アーサー王と円卓の騎士の話はずいぶんと前にかるく読んだような気がするし、数年前にリチャード・ギアとショーン・コネリーが共演している「トゥルーナイト」も観てるし予備知識ないわけじゃないからいっか、とそのまま鑑賞に突入したんですが…アーサーが司令官の任期を終えてローマに帰るとは? つまりローマ人ってこと??を筆頭に「こんな話だったっけ?」と思った箇所多数。自分の記憶に全く自信がなかったんで帰宅してから本棚の奥底で埃にまみれていた岩波文庫の「中世騎士物語」を取り出して相当すると思われる部分をサラッと読み直したけどやっぱり全然違う。順番逆になったけどぴあの特集によればこの作品、そのアーサー王と円卓の騎士の物語を下敷きにはしているけれど大胆な新解釈の元に脚本が書かれているんだそう。正直登場人物の名前だけそのまんま使ってサクソン人との戦いを描いた別物の騎士戦争物語といってもいいくらいなので、だったら「キング・アーサー」とかそういうストレートなタイトルやめたらどう?って気も……結局内容的にはそういう話ですけれども。
というわけで「円卓の騎士」の物語というのを考えないようにして観れば、というかそこをいちいち指摘するほど通じてもいないんですけど、とりあえず馬が走ってる時代物好きなわたしは細かいことを抜きにして単純に見入ってしまいました。主役級から脇役に至るまでキャスティングもひじょーに地味なところは割と気に入りました。だけどそのうち製作者だったか脚本家のコメントで「製作にあたってはベトナム戦争やらイラク戦争を多分に意識して作った」みたいな話を読んでなんだかがっくししてしまった。この物語のアーサーは彼自身信じている理想と大儀のために戦っていたはずなのに、実は忠義を尽くしたローマ帝国は思う以上に腐敗しきっていて、理想のよりどころとしていた正しき人々は当の昔に失脚してしまっていた事を知ったアーサーは何のために戦ったのかと絶望しそうになります。でもそこで母の祖国であるブリテンや(アーサーはブリテン人とローマ人のハーフという設定らしい)、そこに暮らす罪なく貧しい人々、自分の故郷や家族を守るため支配者たるローマに仕え共に戦い長い戦から解放されてようやく故郷へ帰ることを許された騎士たちのために、彼はひとり(というかブリテンゲリラのウォードたちと)残忍なサクソン人と戦うことを決意します。そりゃそれで立派とは思うけど、あとからそんな戦うことの正当性を暗に匂わせるような製作陣の無粋な思惑みたいなのを聞いたらなんとなく興ざめしちゃったのでした。製作会社は「華氏911」の配給拒否騒動も記憶に新しいディズニー傘下のタッチストーンだし。
役者関係ではサクソン王を演じたS・スカルスガルドが存在感たっぷりで特によかったです。viva!ロン毛のおっさん。アーサーの騎士一派では…トリスタンに扮したのは「しあわせな孤独」で不倫にはまってしまうしょうもないダンナを演じたマッツ・ミケルセンでしたがあちらとはうってかわったワイルドかつボヘミアンぽい騎士でよかった!なんてったってトリスタンだもの(…ってそれはいいっこなしか)。あとはやっぱランスロットですかね。アーサーはいかにもローマ人とのハーフというちょいと油っぽいラテンな雰囲気はにじみでてた。とはえひとり丘の上に立つ甲冑姿はかなりさまになってあの画はかっこよかったですよ。あとはほぼ紅一点のグイネヴィアことK・ナイトレイですけど、なにがすごいって…あのバンデージいらんのではないかというほどの胸の無さが………。いくら戦闘中とはいってもあそこまでねぇ。思いっきり縛ってあるのを正面から撮ったカットだったので余計にそう見えたのかも知れないけど、ストーリーに並ぶ衝撃のひとつでした。
原題:KING ARTHUR 監督:アントワーン・フークア 2004年製作
出演:クライヴ・オーウェン、キーラ・ナイトレイ、ヨアン・グリフィス、ステラン・スカルスガルド
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