ライブハウスのバーテンをクビになった元グルーピーのスゼット。お金に困った彼女はかつての追っかけ仲間で今や弁護士の奥方に収まっているはずのヴィニーに借金を頼もうと思い立つ。道中、ひょんなことから脚本家崩れのアヤしいおやじハリーを同乗させヴィニーの住むフェニックスへやって来たスゼットだったけれど、ヴィニーは彼女との再会を喜ぶどころか過去を封印し今やおハイソな堅物奥様になっていた。果たしてふたりは友情を取り戻せる…?
ちょっと前まで「ヤーヤーシスターズ〜」と区別の付いてなかったこの作品。ストレートでビデオリリースになってたのかと思ったら実は劇場で公開されてたそう。しかもシネパトスで。出演者にオスカー獲得者がずら〜りとそろった上でその仕打ちとはそれだけでかなり眉唾ものって気もしますが…。
タイトルになってる「バンガーシスターズ」というのは劇中のお話によればスゼットとヴィニーのコンビがその昔お相手をしたジム・モリソンが名付けたとのこと。冒頭で出てくるライブハウスのトイレでジムとスゼットがことをいたして、それでもってスゼットの腕にはリザード・キングのタトゥーが彫ってあるとかキーワードはどうもドアーズらしいけど、その割に使われている音楽はまとまりがないというか全体的にセンスが感じられません。またヴィニーが隠し持っていた戦利品ともいうべきミュージシャンのナニのポラロイド写真ですけど(ドアーズとかその辺が活動してた当時ってポラロイドってもうあったんですかね?)その辺のみせっこ場面はなんだかいかにも普通の人が安直にイメージするところの型どおりのグルーピーの自慢エピソードって感じであんまいい感じはしませんでした。お話にしても音楽使いにしてもいまいち消化し切れてない/イケてない/しっくりしない感じが残るのは、製作陣があの当時の音楽だったりライフスタイルを体験してない、もしくは少なくとも愛着はないからじゃないかと思ったりして。S・サランドンの役にしてもJ・ラッシュの役にしても笑えるところは笑えるし上手に演じてはいると思うけど、役どころの変わり身の早さが簡単すぎて真実味ないなと思いました。コメディに真実味が云々言うのもヤボかも知れないけど、演技のうまさと脚本の甘さのアンバランス加減がなんとも中途半端でした。
G・ホーンはめっちゃキュートだしコメディエンヌの面目躍如といったところ。スーザンにはどうせコスプレするなら「ロッキー・ホラー・ショー」当時並みのはじけっぷりを見せてほしかったなぁ。ヴィニーのふたりの娘のうち次女役のほうはスーザンの実娘(ティムの前のダンナとの子らしい)、長女役は「トラフィック」でもM・ダグラスのラリラリ娘を演じたE・クリステンセン。もうちょっと売れっ子になるかと思ったのにまたこんなところでゲロってるよ…と不憫に思いました。
というわけでお話的にも音楽的にも印象極薄で残念感が勝りますが、唯一にして最大の見所はくりかえしになるけどゴールディのナイス・バディとかわいらしさ。これはホントに○。そういえば娘のケイトのデビュー作も「あの頃ペニーレインと」のグルーピー役でしたがその辺、ママも負けじと力が入ったのか? お話的には向こうのほうが全然よいけれど、ペニーとスゼットどっちがかわいいっていえばわたしだったら断然スゼットを選びます。
またダメだしした劇中の音楽ですがスゼットが登場する2カ所ぐらいにブラック・クロウズ?って曲が使われていてこれにはニンマリ(Southern Harmony & Musical Companionとか大好きー!)。クレジットをみたところクリス・ロビンソンのソロみたいでしたが、何てったって彼は今やゴールディの義理の息子だもんね (元になっちゃったけど)。
原題:The Banger Sisters 監督:ボブ・ドルマン
出演:ゴールディ・ホーン、スーザン・サランドン、ジェフリー・ラッシュ
3/21/2004
バンガー・シスターズ
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