ジャン・ジュネの「ブレストの乱暴者」を原作としたファスビンダーの遺作。シネマスクエアとうきゅうでの上映は予告編しか見ておらず、後年のファスビンダーのドキュメンタリーで抜粋場面をいくつか見ていたけれど、MUBIに本編があったので初見。予告の時点からなにより目を引いたのは夕暮れともつかないオレンジ色のライトに照らされた舞台。そこに水兵姿のマッチョなB・デイヴィスが佇んでいるだけで不穏ながらも絵になりすぎている。港町の売春宿を舞台にしたドライだけどウェットな愛憎劇。ほぼ紅一点といっていいジャンヌ・モローすら醸し出す場末感。「人は誰しも愛するものを殺すのよ」という劇中のシャンソンが印象的。これまでの間にバックグラウンドをある程度わかってみてはいるけれど、結構赤裸々な描写は公開当時にみていたらウブなわたくしには刺激が強かったかもしれない。ここまでストレートではないけれど、ファスビンダーを主演にしてシュレンドルフが撮ったブレヒト原作の「Baal」を思い出したり。
原題:Querelle 監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー 1982年製作
出演:ブラッド・デイヴィス、ジャンヌ・モロー、フランコ・ネロ、ギュンター・カウフマン
0 件のコメント:
コメントを投稿
(※営利目的、表題に無関係な主義主張・勧誘のコメントは削除します。ご理解ください)