2/09/2025

シビル・ウォー アメリカ最後の日

 任期三期目を一方的に押し通し、様々な法制度を反故にする大統領に対して全米19州が反旗を翻し分離独立を宣言。激しい内戦の末に首都ワシントンが反政府軍によって陥落間近との報に接し、大統領への取材を試みるべく首都へと向かう4人の報道ジャーナリストを追った物語。
 初っ端から続いてきた戦いを鼓舞すべく独裁者のような大統領が「勝利の日は近い」などと語るのみで内乱の発端はわからない。報道カメラマンのリーは世界各地の様々な紛争地に出向いては、目を背けたくなるような瞬間にも恐れず飛び込んでレンズに収めてきた。報道することによって母国を含め他の土地で同じことが繰り返されないことを願って、というのが彼女の持論だったけれど、それでも母国は無政府状態のアナーキーな状態に陥っている。そして地獄めぐりのような首都への旅の途中では、内乱に関わりを持ちたくない州では表向き我関せずの空気が流れていたり、様々な暴力が振るわれるさまを目撃したり、やがてはその矛先が自分たちにも向けられ師と仰いできた仲間を失うことにもなる。たぶんその時彼女の恐怖も虚無感も異国のファインダー越しではなくまともな形を伴うものになったのかもしれない。
 そしてそんな有り様を素人状態から見つめたリーに憧れる若いジェシーは、デジタルネイティブじゃないけれど紛争ネイティブとしてこの先のカメラマン人生を歩むことになるのだろうか。どちらかといえばそっちのほうが恐ろしい気もする。どんな感情を持って自分の職務に臨むことになるんだろう?

 衝撃的なシーンを含めどこかで見たような絵面を切り合わせたような印象も受けないでもないけれど、やっぱり思い浮かべるのは、任期延長についての大統領令に署名云々を伝えられる現実の人物のことではある。事実は小説よりも……イヤだなあ

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原題:Civil War 監督:アレックス・ガーランド 2024年製作
出演:キルスティン・ダンスト、ケイリー・スピーニー、ヴァグネル・モウラ、スティーヴン・ヘンダーソン


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