9/16/2024

自由の暴力

 見世物小屋で芸人をしていたフランツはロトで大金を手にし、やがて知り合った印刷会社の息子オイゲンと一緒に暮らすようになるが、オイゲンの目当てはフランツの金だけ。経営破綻寸前の親の借金を立替えさせ、贅沢な住居への引っ越しや劇場通いにモロッコへの旅行などすべて資金はフランツ持ち。結局いいように利用され、捨てられた挙げ句すべてを失ったフランツは病を得て野垂れ死ぬ。倒れたその場に居合わせた少年に所持金や腕時計までむしり取られて。
 踏んだり蹴ったりどころではない目に遭わされても愛ゆえに相手を信じてしまうフランツがひたすら気の毒でしかないのだが、大胆でふてぶてしい外見にどこか繊細な心を持ちときには友人の肩で泣き崩れるキャラを自ら演じるファスビンダーがときに可愛らしくも見えてくる。この路線どこかで、と思わないでもないけれど、ハンナ・シグラ除くいつものファスビンダー組揃い踏みのせいだろうか。
 冒頭のクレジットに恋人アルミンらへの献辞があって、二人の間に劇中ばりの悲劇が起きたのはいつだっけ?と思いながら観たけれどこれよりも4,5年後のこととのこと。
そしてここでもレナード・コーエンなど劇中歌が効果的。

原題:Faustrecht der Freiheit 監督主演:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
1974年製作 旧題:自由の代償
出演:ペーター・シャテル、カール・ハインツベーム、クリスチアーネ・マイバッハ
2024.9.16 @Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選2024

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