3/05/2023

ワース 命の値段


 事件によって被害者がでた場合、代償として支払われる値段、その人が将来生きて稼ぐことができたであろう未来の収入まで見積もって金額として割り出す作業ってたとえそれが商売であってもなかなか厳しいものはあるだろう。まして世界を揺るがすような大事件の犠牲者たちへの補償金となると、気が遠くなるような苦悩は想像に容易い。

 あまりにもあまりにも広範囲に及んだ事件である。偶然にも該当する飛行機に搭乗していた人々、いつもと同じ朝のようにあのビルに出かけていった人々、そして未曾有の事件の現場へ救助に向かった警察、消防隊の人々。どのような立場であの場所へ向かったにしろそれぞれの命の価値も、突然命が失われた身内の痛みも苦しみも簡単に差がつけられるものではない。そんな人々への国が定めた支給すべき補償金制度はそれはそれでよいことだけれど、いざ実際の数字を割り出すことは、ある程度の目安を縁にしながら弾き出すにしてもとても困難なことだったろう。それぞれの気持ちに十分な心を寄せながらも数字という目に見えるものを示すこと。心を失わずに人々と接していった弁護士の人たちには本当に頭が下がる。

原題:Worth 監督:サラ・コランジェロ 2019年製作
出演:マイケル・キートン、スタンリー・トゥッチ、エイミー・ライアン
2023/3/5 @TOHOシネマズ日本橋


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