実際に起きた出来事をもとに母親にネグレクトされたダウン症の少年を深い愛情を持って育てようと奮闘する同性カップルの物語。
設定の1979年はヒッピー文化や新しいカルチャーをいくつか経たあとでも、まだまだ一般には古いものの見方がより強く残っていた時代。同居する奔放な母親に構われず放置されている少年に、純粋に温かい愛情を与え接したいという二人の気持ちが、彼らがLGBTだというだけで周囲から好奇や嫌悪のまなざしで見られ踏みにじられた結果、取り返しのつかない結末を招いてしまうさまは非常につらいものがあった。その顛末を手紙によって知らされる劇中の酷い当事者らと同じぐらいショックで受け止めた結末は、映画の「オリジナル」だったと遅ればせながら知ったときには少し安心したのだけれど、それでも実際にはいろいろな形でもっともっとつらい局面を耐え忍ばなければならなかった多くの人たちがいるだろう。そして彼らは愛を持って自由に生きるという希望を any day now、すぐにでも、かなえられることを求めながらここまで続いて来ている。部分的にでも多少明るい光が見えてきたのかもしれない今の時代もいまだに。
ハッピーエンドの物語が大好きだった劇中のマルコ少年のような子も、そしてどんな境遇の誰でもが夢や希望の光を今はどんなにつらくてもいつかもう少し先には明るいハッピーエンドによってかなうはずだからと抱き願うことはごく自然なことだろう。誰のための幸せ、というか誰もが互いに幸せになることをちょっとでも望みあうならば、争いごともなくなるし悲しくつらい思いをする人もいなくなるのにと I shall be released じゃなくて Imagineみたいなことをこんな世だからこそ余計強く思ってしまう。
最後のアラン・カニングの歌は特に胸に迫ったし、マルコ少年を演じたアイザックくんもとてもよかった。
原題 Any Day Now 監督 トラヴィス・ファイン 2012年製作
出演 アラン・カニング、ギャレット・ディラハント、アイザック・レイヴァ
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