5/04/2023

アダマン号に乗って

  まるでセーヌ河に浮かぶ方舟のようなデイケアセンター、アダマンに集う人々と職員の四季の日々を追った作品。精神医療センターの一部だというアダマンにやってくる患者は症状の強弱も様々。毎月曜に行われる職員と患者がチームで議長となって切り盛りするミーティングでその週のテーマを確認し、街を巡って貰い受けたくだものでジャムを作ったり、カフェを運営したり、かと思えばパンクロックの熱唱ライブや映画上映会の企画と、患者の意思が尊重されながら様々な活動に加わっている様子が映し出される。彼らから語られる周囲からの偏見であったり、何かしらを抱えているような本音。おそらく綺麗事だけでは済まないことはたくさんあるだろうけれど、それでもここで映し出されるニコラ・フィリベールの視線はこれまでどおり徹底して優しい。というか静かなる観察というのか。
 ゴッホ兄弟を自分と兄になぞらえていたかと思ったら、パリに移り住んだジム・モリソンと恋人パムにインスパイアされた曲を書いた彼には思わずににっこりして。
久しぶりに購入したパンフレットもしっかり読み応えがあるもので満足。

原題:Sur L'Adamant 監督:ニコラ・フィリベール 2022年製作
(ドキュメンタリー)
@ヒューマントラストシネマ有楽町 2023.05.04鑑賞


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